ノートパソコンの修理事情が変わる日本

日常の話

今のPC修理事情

昨日、ショップに某通信大手の企業内システム担当者から相談がありました。

その企業では、国内ブランドのモバイルPCを大量に使っているそうなのですが、経年劣化でキーボードが故障するケースが増えているとのこと。

そこでメーカーに「キーボードだけ売ってほしい」と問い合わせたところ、返ってきた答えはあっけないものでした。

「センドバック修理してください」

つまり、部品単体での販売は完全にNG。

修理費は約3万円。

企業としては「高いから嫌だ」という話ではなく、もっと深刻な理由があるのです。

今日はノートパソコンの修理事情について書いてみます。

“情報漏洩”と“機会損失”

センドバック修理とは、故障したPCをメーカーへ送って修理してもらう仕組みです。

修理はサービスマンがする従来のやり方なのです。

しかし企業側が恐れているのは、修理費ではなく 情報漏洩ということをご存じでしょうか?。

今のインターネット時代の背景には一度漏れたデジタル情報は絶対に取り戻せないということがあります。

最近も大手メーカーの社員の私的流用による情報漏洩事件が続いていますし、どれだけ法整備をしてもそれだけはゼロにはできないのです。

結局、どれだけ大企業でも実際にPCを触るのは「一個人」。

だからこそ、第三者にPCを渡すこと自体がリスクになるわけです。

さらに、修理期間中はPCが使えず 機会損失 が発生します。

企業にとってはこれも大きな痛手なのです。

現実的ではない修理

メーカー修理に出す場合、HDDやSSDの中身を完全消去し、ブラウザのクッキーやキャッシュも全削除する必要があります。

もちろん不可能ではありませんが、 「毎回それをやるのか?」 と考えると、誰も積極的にやりたがりません。

しかも、メーカー側は 「データ消去していない場合、どんなトラブルが起きても責任は負えません」 という同意書への署名を求めてきます。

SSDやHDDの故障なら部品交換になりますが、壊れた部品はメーカーが回収します。

もしその気になればデータ復旧もできてしまうわけで、企業としては不安が残ります。

メーカーが部品販売を拒む理由も分かる

メーカーが部品だけを売らない理由も理解できます。

・サービスセンターを維持する必要がある

・部品販売だけだと製造物責任の問題が出る

・部品単体販売はコストが高くなる

・サポート体制が複雑になる

など、メーカー側にも事情があります。

一方、私のショップは部品販売のみ。

メーカーではないので製造物責任もなく、気楽な立場です。

“バルク流通”を認めればいいのでは?

国内法などがあるので、メーカーが部品を販売するのは行えないかもしれませんが、時代背景を考えると、国内メーカーも外資メーカーのように 部品をバルクとして流通させるべき だと思っています。

つまり、

「部品は売るよ。ただし自己責任で修理してね。メーカー保証は効かないよ。」

というスタンスです。

不安な人はメーカー修理を選ぶでしょうし、 自力で直したい企業は部品を買って自分で修理するでしょう。それをメーカーの責任にはしないと思います。

修理方法を公式サイトで公開したり、動画で説明したりすれば、ブランドイメージも上がると思います。

実際、レノボはこの方向性が非常に進んでおり、世界的に評価されています。

企業側も取るべき対策がある

企業側にもできる対策があると思っています。

情報漏洩対策

・データはクラウド化

・PC本体にはデータを残さない

・キャッシュ削除をマニュアル化

機会損失対策

・代替PCを常備

・修理期間は代替機で業務継続

修理費を「経費」と割り切れる企業ならこれで十分補完できます。

コストだけを理由にする企業は、バルク品を探すしかありませんが、 そもそもPCは間接的に利益を生む“投資”です。

ですから修理代くらいは出して欲しいです。

そもそも選んだメーカーのルールに従うのも仕方ない部分があると思いますので、修理代が高いと思うのであれば、そうじゃないメーカーを選ぶべきです。

良いとこ取りは信頼できるメーカーがすることではないと思います。

「部品だけ欲しい」には、ちゃんと理由がある

私のショップに来る企業の多くは、 「安く修理したい」わけではありません。

・情報漏洩の懸念

・修理期間の機会損失

この2点が理由の会社が多いです。

私がメーカーに勤務していて感じたことが、見た目信頼できるようなブランドメーカーほど、その中の管理がずさんです。

個人情報保護などと言われている昨今ですら、いくら社内ルールを厳格化しても社員の個々のモラルが上がらなければ絵にかいた餅にしかならないのです。

これはいつの時代でも同じで、セキュリティシステムで管理していようが全くそこは同じなのです。

信頼できるメーカーほど、簡単に信頼を裏切ります。

今までのニュースでそれを企業担当者は多く学んでいるからこそ、こういう流れになるのです。

これからは “メンテナンス性も含めてPCを選ぶ時代” になっていくのかもしれません。

現に「メンテナンス性が良いメーカーはどこですか?」という類の質問がブログに連日届いている事実もあるんです。

メーカーは市場を知らなければいづれ淘汰されるでしょう。

以上

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